星景写真におけるLightroomのAIノイズ除去の効果検証

概要
星景写真に対して、Lightroomに新たに搭載されたAIノイズ除去の効果を検証した。AIノイズ除去はノイズの低減効果が十分に得られる強さであってもディテールが十分に残る結果となった。AIノイズ除去が強いと塗り絵のようになった。今回検証に用いた星景写真に対しては、AIノイズ除去の強さは60%が最もバランスが良い効果が得られたが、これは個人の好みの問題でもある。

背景

星景写真のノイズについて

星の光は非常に微弱なため星景写真を撮影するときには、小さいF値のレンズを使用し、高いISO感度で、長いシャッタースピードを用います。ISO感度を高くするとそれだけノイズが多くなるので極力小さい値に抑えたいところですが、街明かりの少ない山間部でさらに新月期ともなるとISOは3200や6400、場合によっては12800という高い値を使用せざるを得ないときもあります。ISOをそこまで高くするとフルサイズセンサーのカメラとはいえノイズを無視することはできなくなります。

星景写真は常にノイズとの戦いとも言えるでしょう。

ノイズ以外の主な星景写真撮影の敵たちは、光害、天候、月、寒さ、地球の自転、睡眠不足、懐具合、などが挙げられます。

LightroomのAIノイズ除去機能の搭載

2023年4月、LightroomにAIノイズ除去機能が追加搭載されました。対応ソフトは、Lightroom Windows版 / Mac版、Lightroom Classic、Camera Rawです。

新しいDenoise機能は、強力な人工知能を利用して、細部を損なうことなく写真からノイズを自動的に除去します。あらゆる種類の写真に利用できますが、特に高ISO、低光量の写真に向いています。

Mac向けApp StoreのLightroomバージョン履歴より

AIノイズ除去を実行するとDNG (Digital Negative) フォーマットのRAWファイルが作られます。処理時間は下記の当方環境で1分程度。それなりにかかります。処理後に作られるDNGフォーマットのRAWファイルサイズは200MB程度でかなり大きい。

・Mac book Pro 13インチ、M2チップ、8コアCPU、10コアGPU、メモリ16GB
・キヤノンR5で撮影した4500万画素の星景写真RAW写真

さらに詳細を知りたい方はAdobe公式ページを参照のこと。

検証方法

比較検証用の星景写真

以下に比較検証用の星景写真の撮影条件、現像条件、比較画像を示します。

撮影条件
・撮影日時: 2022.10.28 00:15(月齢2.2)
・撮影場所: 奥日光 戦場ヶ原展望台
・カメラ: キヤノン EOS R5
・レンズ: Sigma 24mm F1.4 DG HSM art キヤノン用
・フィルター: Lee ソフトフィルタ No.3 (リア直貼り)
・焦点距離: 24mm
・F値: 2.8
・シャッタースピード: 15s
ISO: 12800

現像条件
・使用ソフト: Lightroom Mac版
・画像調整: ノイズ除去以外は調整済み
・JPEG条件: サイズ100%, 画質90%

比較画像
下記のケースで右図の赤枠の箇所を比較。
・ノイズ除去無し
・手動ノイズ軽減5パターン(輝度20, 40, 60, 80, 100), ディテール50, コントラスト0
・AIノイズ除去5パターン(20, 40, 60, 80, 100%)

検証結果

出力画像比較 全体

まずは写真全体を比較します。

ノイズ除去無しは前景のざらつきが目立ちますが、手動ノイズ軽減とAIノイズ除去の差はこのサイズではあまり目立たないように思えます。

手動ノイズ軽減の60という値とAIノイズ除去の60%という値は、本来は同列に比較すべきものではありませんがここでは堅いことは抜きにしましょう。

次に各部詳細を見ていきます。

出力画像比較 A部詳細

A部詳細の比較です。

手動ノイズ軽減は40以下では背景のばらつきが目立ちます。AIノイズ除去は40%で背景のざらつきが低減されました。

出力画像比較 B部詳細

B部詳細の比較です。

手動ノイズ軽減は60以下では背景のばらつきが目立ち、枝の部分は60以上では破綻してしまっています。一方、AIノイズ除去は40%で背景のざらつきが低減し、枝の部分は100%でもディテールが残っています。

出力画像比較 C部詳細

C部詳細の比較です。

B部と同じような感じですが、手動ノイズ軽減は40以下では背景のばらつきが目立ち、枝の部分は60以上ではぼやけています。一方、AIノイズ除去は20%で背景のざらつきが低減し、枝の部分は100%でもディテールが残っています。

出力画像比較 D部詳細

D部詳細の比較です。

こちらも手動ノイズ軽減は60以下では背景のざらつきが目立ち、木の幹の部分は100ではぼやけています。AIノイズ除去の場合、40%で背景のざらつきが低減し、幹の部分は100%でもくっきりしています。ただし若干塗り絵っぽくなっています。

輝度マッピング比較

各部詳細の輝度マッピング比較です。R, G, Bを1:1:1で平均を取り0〜128でカラーコンター表示させています。元画像より輝度のわずかな違いを目立たせるためにこのような表示にしています。この表示画像からもAIノイズ除去はざらつきが早い段階で低減されていることがわかります。

ファイルサイズ比較

最後にファイルサイズを比較しました。

両方ともノイズ除去の強さを大きくすると、ファイルサイズは直線的に小さくなります。これはイメージがつきやすい結果だと思います。

まとめ

検証結果のまとめ

  • AIノイズ除去は手動ノイズ軽減よりも背景のざらつきの低減に対して、被撮影対象のディテールが残る。
  • AIノイズ除去を強くしすぎると塗り絵のようになる。

今回の星景写真に対して

AIノイズ除去の強さ60%が最もバランスの良い効果が得られました。ただし主観が多分に入っていることと個人の好みもあるので、結局は自分で自身の好みの設定を色々と試してみるのが一番だと思います。

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